「火葬式」で最安価格の表記を始めた葬儀会社大手
皆さんは、「火葬式」(かそうしき)という言葉をご存じでしょうか?
今までは、「直送」(ちょくそう・じきそう)と呼ばれていたのですが、最近になり、葬儀会社大手の2社がこの言葉を使い始めました。
大手の2社とは、「小さなお葬式」と「イオンのお葬式」です。
2社のビジネスモデルは、ほぼ同じです。
圧倒的な技術力・コンテンツ力で、インターネットの検索上位を占めています。
広告の出稿量も他社を圧倒しています。
全国一律の定額で低価格の料金体系をとり、24時間のコールセンターで対応。
地縁の強かった葬儀会社を抑え、圧倒的な成長をしているのがこの2社です。
コールセンターで葬儀を受けたあとは、提携している全国の葬儀社の葬儀場を使用し、その葬儀会社のスタッフに仕事を請け負わせます。
クレジットカードでの決済も可能で、従来からの葬儀で不安になっていた費用についての不明瞭さがないということもあり、特にインターネットを使用できる50代や60代からの支持を集めています。
火葬式とは?
火葬式は、「通夜」・「告別式」・「初七日」を行いません。
逝去されてから、「お迎え」し、「安置」して、「納棺」し、「火葬」をするだけのものです。
儀式を行わないことから、業界の関係者の中には、火葬式を「葬儀」の中の一つということにしないでほしいという声もあり、「葬儀」と言っていいものなのかは賛否両論があります。
そして「火葬」をするだけですから、費用も当然安くなります。
火葬式のメリット・デメリット
メリット
圧倒的な費用の安さです。
「小さなお葬式」の場合、「早割」という制度を使っていれば、火葬式が税込みで168,000円とい価格で行うことができます。
追加で55,000円を支払えば、僧侶の手配まで行ってくれ、読経だけでなく戒名まで授かることができます。
実際に火葬式をされた人の体験記事があります。
小さなお葬式についての評判や口コミについての記事も書いていますので気になる方はお読みください。
▼「小さなお葬式」の公式ホームページ
デメリット
あまりに簡素な内容なため、故人をしっかり見送ることができたのだろうかと後悔する方が一定数いらっしゃるようです。
「火葬式」という言葉の力
直葬(ちょくそう・じきそう)という言葉はある種の抑止力を持っていました。
字や読みが「じかに火葬する」ことを連想をさせるため、「大事な家族の最期をそのような形で終わらせてはいけない」と考える方が多かったのです。
ところが、「火葬式」は
「火葬」+「葬式」
という造語です。
なんとなくではありますが、「葬式」をするというイメージが持てます。
実際には、簡単な枕飾りやお別れの花束も用意されるため、式の要素が全くないわけでもありません。
「クールビズ」という言葉が、もしも「半袖ノーネクタイスタイル」であったら流行しなかったでしょう。
「イクメン」という言葉がなければ、男性の育児参加の比率はもっと少なかったような気もします。
「火葬式」という言葉が生まれたことで、今まで「直送」という言葉が持っていた後ろめたさが払拭されることは、まず間違いないであろうと考えます。
「火葬式」が広まっていくことによる影響
火葬式が広まることにより、さまざまな影響が出てきます。
それぞれの立場から考えてみたいと思います。
消費者
選択肢の幅が広がります。
火葬式が合わないと思えば、従来の葬儀や家族葬にすればよいだけですので、一見何のデメリットもありません。
葬儀会社
全国の葬儀会社は何年も前から、葬儀会場を増やしてきました。
皆さんが住んでいらっしゃる町にも、新しい葬儀場があるのではないでしょうか?
これらの会場は、今後の超高齢社会に向け、葬儀の需要が増えることを予測し建てられたものです。
しかし、その需要の件数は予測通りであっても、1件あたりの単価は「火葬式」という言葉の誕生で下がっていくでしょう。
箱もの商売である葬儀社は、低価格で下請けでも、葬儀場を空けてスタッフを遊ばせるよりは、「小さなお葬式」や「イオンのお葬式」から仕事を請けることを選ばざるを得ません。
利益の定価は、いくつかの葬儀会社を追い込んでいくのではないかと考えます。
「小さなお葬式」や「イオンのお葬式」
ますます、葬儀の依頼件数を伸ばしていくことでしょう。
既に、全国の葬儀社や寺院との提携を済ましていますし、葬儀のあとの遺骨の埋葬につていもワンストップでできる体制を整えています。
また、今後インターネットを使用する人が減ることはありません。
葬儀だけは別と思っていた、従来の葬儀会社の予想をくつがえし、「葬儀」のコモディティ化が始まりました。
スマホで比較しながら、葬儀を決める時代がきてしまったのです。
私は、株をしていませんが、運営会社である
- 株式会社ユニクエスト・オンライン
- イオンライフ株式会社
が上場することになれば、買いだと思います。
似たような業態の鎌倉新書はマザーズ上場から、ほんの数年で東証一部に鞍替えしたほどの成長をしています。
寺院
地方の寺院は、廃寺になるところが増えていくことでしょう。
人口流出が進み、新しい檀家が増えることはありません。
年に数回の大きなお金が入ってくるはずだった葬儀も、故人が葬儀を選ぶわけではありませんので、低価格化は避けられません。
「小さなお葬式」や「イオンのお葬式」と提携し葬儀に読経に行く住職は、そのことを周囲に知られないようにしているそうです。
読経や戒名授与を定価で低価格で行っていることを、まわりの寺院に知られると軽蔑されることもあるということです。
それでもやむを得ず、生活のため読経されている住職もいるのでしょう。
火葬式に関する情報のまとめ
「火葬式」という言葉、低価格の葬儀の誕生は、消費者として、一見選択肢が増えるというメリットしか見えません。
しかしながら、「火葬式」で利益をあげるのは、首都圏に本社を置く一部の大きな会社だけです。
地方で汗水をたらし、実際に葬儀に関わっている葬儀会社の従業員や、読経をする僧侶は厳しい状況に追い込まれていくことでしょう。
私たちは、消費者であると同時に生産者でもあります。
一部の仕組みを作ったものだけが勝者になる社会は「地方創生」からほど遠いなと感じます。
「火葬式」という言葉の力は、故人を偲ぶ葬儀の文化の部分を奪っていってしまう怖さもあります。
不景気が続く日本。
金銭的な事情で、どうしても「火葬式」を選ばないといけない方はいらっしゃると思います。
そうでない方は、ぜひご一考くださればと思いこの記事を書きました。
「終活」において、ご自身の葬儀をどのような形にしたいかというのは非常に迷われるところです。
葬儀は多くの情報を集め、納得したうえで選ばれるのが一番です。
それでは。
▼「小さなお葬式」の公式ホームページ
▼葬儀費用の相場と安くする方法についての記事