終活カウンセラーで、お墓ディレクターのMr.Kuyouです。
平成30年5月22日、秋田市が市役所で合葬墓の2回目の受付をしたところ、希望者が殺到し午前5時過ぎに募集を締め切ったということです。
平成30年4月2日に、1回目の受付をした際も、1,500人分の定員に対し午前中だけで1,000人の申し込みがあったため、急きょ受付を打ち切り2回に分けたとのこと。
その2回目の5月22日は、残り500人分の権利の争奪戦となり、前日の夜中から並ぶ人も多く7時半開始の受付を繰り上げ。
朝に公共交通機関で向かった人が市役所に到着したとにきは、すでに申し込みが終わったあとでした。
【追記】
2019年夏に秋田市飯島の「北部墓地」に新たに1,500人分の増設を決定したようです。
申し込み方法も変わるようで安心しました。
秋田市の合葬墓について
秋田市の合葬墓について、秋田市のホームページから情報を集めました。
【秋田市営墓地合葬墓使用者募集案内から】
合葬される場所:秋田市平和公園内の市営墓地(秋田市泉字五庵山地内)
埋葬方法:焼骨を骨壺から取り出し、直接埋蔵
※他人と同じ場所に合同で埋蔵されるということです
使用料:焼骨1体につき17,000円(年間の管理料はなし)
生前申し込み:あり。65歳以上で住所または、本籍が秋田市にある人
詳しくはリンク先のPDFの募集案内をご覧ください。
合葬墓の申し込み殺到についてお墓ディレクターが思ったこと
①自治体が募集するのであれば、機会を均等にすべき
市役所の職員の人も、まさかここまで申し込みが殺到するとは予想していなかったのでしょうけれど、通常、自治体が墓所の募集をするときは、申し込みを書類やインターネットで受け付けしてからの抽選会。そして当選発表という流れが主流です。
近年の永代供養・永代管理のブームは知っていたと思います。
他の自治体を調べればすぐわかることなので、余計な混乱は避けられたはずです。
また、死後にかかる費用が払えない、年間の管理料が払えないと考えられている人を申し込みの対象としているのにも関わらず、先着順にしてしまえば、前日や早朝から並べる人が有利になります。
亡き夫の遺骨を部屋の片隅に置いたまま、どうしていいかわからない足腰が弱ったおばあちゃんが申し込みできるようにするのが大事なはずです。
1回目の1,000人の申し込みが殺到したあと、残りの500人の申し込みについては、すでに遺骨があり困っている人を優先するといったことも考えられたのではないでしょうか?
今後、秋田市が合葬墓の増設をする場合は申し込み方法は改善されると思います。
もし、他の自治体で合葬墓を検討されているところがあれば、重要なところなので、先着順にはしないで頂きたいです。
②本当に秋田市の未来を考えたことなのか疑問
合葬式の墓地は、毎年さまざまな自治体で建立されています。
その目的はおそらく、セーフティーネット(安全網)の役割だと私は考えています。
経済的な事情で、お墓や納骨堂を買うことができない人も増えています。
市役所としても無縁のお墓が増えては困るでしょうし、跡継ぎがいない人の遺骨をどうするかといったも問題もでてくるでしょう。
死後の心配が少なければ、生前の消費も少しは活発になるかもしれません。
しかし、秋田市にとって1,500人分の合葬墓の申し込みを一度にすることは、良策とは思えません。
たしか、秋田県は人口減少率が全国ワーストの県だったと記憶しています。
秋田を出ていく若い人が多く、高齢者ばかりが残る秋田市。
合葬墓は、秋田市が管理をします。
子どもたちが、お墓参りにくる回数は減ります。
もしかしたら、来なくなる可能性もあります。
お墓や納骨堂があったときは、お墓参りや法事などがきっかけで帰省していた人も帰ってこなくなります。
お盆に旧友と会い、親戚と会い、Uターン就職を考えることも減るでしょう。
定年を迎えたら、実家に帰り家を継ごうと考えていた人も、先祖の遺骨を合葬墓に
任せてしまえばいいと考え、帰らないかもしれません。
東京都(首都圏)が人口爆発し、地価が高く合葬式の墓地をつくることと、田舎で人が減り合葬墓をつくるというのは全く意味合いが違います。
仮に、秋田に帰ってこなくても自分の親が埋葬されているところがあれば、お参りにくることで、お土産を買ったり、宿泊をしたりすることもあるはずです。
私が秋田市の職員であれば、費用は安く管理費もかからないが、それでも年に一度はお参りに来たくなるような埋葬施設を検討します。
都会に右にならえの合葬墓では、秋田市との縁は切れてしまい子孫たちが秋田に戻ってくる可能性は低くなります。
③供養に関する相場は下がり続ける
合葬(合祀)で17,000円という金額には驚きました。
自治体という安心感もあり、応募に殺到したのだと思います。
おそらく、今後も全国の自治体で5万円以下の合葬式墓地は増えていくでしょう。
そして、昨年私がこのブログでお伝えしたように、「手元供養」と「永代供養(合葬)」を組み合わせるという供養の方法も一般的になってきそうです。
遺骨の全てを、合葬するのは寂しいので、ほんの一部分を手元に残して供養するという方法です。
合葬を検討している人に伝えたいこと
今、終活をしている皆さんにお伝えしたいのは、今後10年もしないうちに、もっといろいろな供養の方法が出てくる可能性があるということです。
焦らず、じっくり比較検討しながら探すことです。
10万円程度のお金があれば、合祀でも丁寧に供養してくれるところもあります。
ひと昔前では考えられない内容です。
きっと、あなたのお住まいの近くにも、費用以上の心のこもった供養をしてくれるところがあるはずです。
移動社会で人口減少が進む日本では、子孫が遺骨の管理・供養をするというのが難しくなってきているのは現実です。
個人単位・夫婦単位での供養がますます増えていくでしょう。
インターネットなどで情報を集め、実際に見学に行かれることをおすすめします。
それでは。
▼永代供養やエンディングノートに関する私が書いた記事