終活カウンセラーでお墓ディレクターのMr.Kuyouです。
こんなニュースが届きました。
宇都宮市が同市氷室町の市営霊園「東の杜(もり)公園」に整備を進めてきた合葬(がっそう)式墓地が完成し、8月1日から利用を開始する。市内初の市営合葬墓で、市によると1万500体の埋蔵規模は「全国の中核市でも有数」という。市民のニーズなどを受け、石碑の代わりに樹木を植える「樹木葬」に近い形式を採用。少子化に伴う後継者の不在や「子どもに迷惑を掛けたくない」という思いなどで管理の手間が少ない合葬式への関心は高まっており、選択肢の一つとなりそうだ。 出典:下野新聞
栃木県の宇都宮市で、「合葬式墓地」が完成したとのこと。
使用料は1体 2万5000円。市が管理し、使用者が通常負担する管理費は不要ということです。
民間霊園の「永代供養の合葬(合祀)タイプ」と内容は同じです。
永代供養の価格破壊が進んでいます。
地方自治体(市町村)が合葬式墓地を建てると石材店が倒産する ・廃寺が増える
こういったニュースを見る度に複雑な気持ちになります。
一人の消費者としては、選択肢が増えることはいいことだと思っています。
けれど、多分この周辺の石材店のいくつかは潰れます。
自治体が「合葬式墓地」をスタートすることで、自分が払える金額の範囲で供養をしようと考えていた人たちの一定数が「合葬式墓地」に流れるからです。
平均で100万円を超えるお墓。建てる人はどんどん減っていきます。
また、お寺のいくつかも将来的になくなるかもしれません。
仏教には興味はなかったけれど、大切な人が亡くなったときに、納骨する場所を探すことでお寺と縁ができる人もいます。
そんな人も少なくなるでしょう。
それが資本主義と言ってしまえば、そうなんだと思います。
スマホのせいで、写真屋さんはダメです。
Amazonのせいで、本屋さんはダメです。
イオンのせいで、商店街はダメです。
同じようなサービスで価格が安い場合、消費者はそちらを選びます。
遺骨の置き場ということで考えれば、そうなのでしょうけれど、大事な文化が衰退していくような、そんな気分です。
地方自治体が合葬式墓地を建てる意味
地方自治体が、「合葬式墓地」を建設するのはセーフティーネットの意味合いが強いです。
死後に多額のお金がかかるのを心配している人が多いので、安心してもらいたいということでしょう。
「終活」をしている人の一つの選択肢にもなります。
安心すれば、アクティブシニアがたくさんお金を使って、経済も活性化するという目論見もあるかもしれません。
合葬式墓地の建設は、そこまで大きな費用がかかりません。
今回の宇都宮市のケースでも、1万500体分の遺骨が入るそうですが、整備にかかった費用は1億600万円とのことです。
計算すると、約40%の遺骨が入った時点で整備にかかった費用がペイできます。
東京都が、平成24年に小平霊園に樹林墓地を整備してから5年。
東京都という一番の見本ができたため、右へならえの行政は、視察に行き、毎年多くの自治体で合葬式墓地の検討が始まっています。
今から何世紀か後には、「2000年代まで、お墓参りという習慣がありました。」と教科書に載っているかもしれません。
秋田市での合葬墓についての記事も書いています。
よろしければお読みください。
永代供養とはなにか?費用やメリット・デメリットについての記事も書いています。
地方自治体がエンディングノートを配布するケースも増えています。
それでは。
▼一番読まれているエンディングノートに関する記事