きみと終活とわたし

「終活カウンセラー」のMr.Kuyouがお届けする終活・エンディングノートのブログです。

逆縁と花

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いつもは、割と明るく仕事をしている。

 

お墓、永代供養、樹木葬などを扱っている当社。

友人には、「大変じゃない?」と聞かれるが、ほとんどのお客様は生前にご自身で準備される方。

 

そんなに大変ではない。

ちょっとした冗談も言う。

感謝されるし、お菓子もよく頂く。

 

けれど、10組のお客様がいれば1組は、大切な誰かが亡くなったから当社に連絡をするお客様だ。

 

そんなときは、できるだけお客様に寄り添う覚悟を決める。

 

故人のために、埋葬される場所を探したり、オーダーメイドのお墓をつくったり、樹木葬に施される彫刻を考えることは、残された方が大切な人に「もっと何かをしてあげたかった」という願いを、ほんの少しだけれども叶える術になり得るから。

 

短いときで、1か月。

長いときには、半年くらい。

できあがったときには、お客様の顔が晴れやかに見えることも多い。

 

 

 

それでも、ずっと悲しい顔をされたままのお客様もいる。

何度か経験があるが、逆縁のお客様は、ほとんどそうだ。

 

逆縁とは、親より先に子が死ぬこと。

その悲しみは、計り知れない。

 

 

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田中さんは、昔、先生をしていたと言っていた。

歳は70才を超えていたと思う。

亡くなった息子さんは、どんな人だったかは聞いていない。

というか、聞けなかった。

 

お墓に対する要望も、ほとんど出なかった。

「お任せします。」

消え入りそうな声で話す田中さん。

 

 

お墓が完成し、お寺での納骨法要の日になった。

田中さんには、孫がいた。

亡くなった息子さんの娘さんだ。

 

みんな泣いていた。

 

最近のお墓は、遺骨を納めるところが扉式になっている。

遺骨を納め、いつもより、時間を置いてから扉を閉めた。

 

「あんまり役に立てなかったな。」

帰り道、そんなことを考えながら、会社に戻った。

 

 
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その日以来、田中家のお墓に、花が供えられているのを何度も見た。

 

お寺に行ったある日。

通路の向こうから制服の中学生が歩いてきている。

あの娘さんだ。

なんて言おうか、何も言うまいか迷ったけれど、

「こんにちは。」

と言った。

 

あちらも、

「こんにちは。」

と言ってくれた。

一度しか会っていないが、憶えてくれていたのは言い方でわかった。

 

田中家の墓の前を見て気付く。

いつも花を供えていたのは娘さんだったようだ。

お墓がきれいになっているし、花も供えられたばかりだ。

 

 
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その後も、何度か会うことがあった。

 

今年の春に会ったときは、

「父に入学の報告をしにきたんです。」

と言っていた。

 

 

田中さんの悲しみを癒すことはできなかったけれど、

田中さんは、息子と孫が会話できる場所をつくったのだと思った。

 

 

今日も、花が供えてあった。

あの娘さんは、お父さんと何を話したのかな。

 

 

 

 

お盆

もうすぐお盆。

お盆には、ご先祖様が帰ってくると言います。

 

「ご先祖様がいたから、自分がいる」

 

あなたには、話したい人はいますか?

 

 

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