きみと終活とわたし

「終活カウンセラー」のMr.Kuyouがお届けする終活・エンディングノートのブログです。

LGBTのお墓とLGBTの終活

終活カウンセラーでお墓ディレクターのMr.Kuyouです。

 

LGBTの方も入れるお墓(永代供養墓)が広告賞を受賞

『第65回朝日広告賞』で、永代供養墓「&(安堵)」(あんど)の広告が『不動産・金融部門賞』を受賞しました。

 

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朝日広告賞について
朝日新聞社主催、1952年創設。各界代表審査委員達の厳しい審査のもと、時代性や新たな価値、審美眼的観点等から、優れた新聞広告を顕彰。広告文化の発展に寄与してきた顕彰事業です。 出典:産経ビズ

 

2016年に販売開始された、この永代供養墓「&(安堵)」(あんど)ですが、受賞が決まる以前から、話題になっていました。

 

f:id:mr_kuyou:20170913030420p:plain▲出典:永代供養墓「&(安堵)」 森林公園 昭和浄苑 

 

 

それは、「LGBTの方も入れるお墓」ということでメディアに紹介されていたからです。

 

ついこの間まで、「BLT」がベーコンとレタスとトマトのサンドイッチということを知らなかった私。

「LGBT」という言葉も、なんとなくのイメージしかありませんでした。

 

当時、そのニュースを読んだときは、「話題作りかな?」と思っていました。

 

しかし、今回改めて、「&(安堵)」について調べてみたところ、

そこには、住職の深い考えと決意があったのでした。

 

 

住職のお墓に対する思い 

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井上城治(いのうえじょうじ)住職は、東京にある浄土真宗のお寺「證大寺」(しょうだいじ)の第二十世の住職です。

 

核家族化や、少子化の進行で、代々家族で継承していくという「お墓の前提条件」が整わない方が増えているのを感じていた住職。

 

2014年に、「浄縁墓」という永代供養墓を建てられました。

 

浄縁墓にはたくさんの方が申し込みをされ、その中には家族ではない方が申し込みにくるケースもでてきたそうです。

籍を入れていない事実婚のカップルでも入れるお墓が必要だと気付いた住職は、宗派・国籍・性別を問わず好きな相手と一緒に入れるお墓、「間柄を問わないお墓」を思い立ちました。

それが、2016年に新しく建立した「&(安堵)」だったのです。

 

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そんな経緯から始まった「&(安堵)」ですが、ある時、メディアの取材で「間柄を問わないということは、LGBTの人たちも入れるんですか?」と聞かれました。

 

当初は想定していなかったことだったそうですが、「大乗仏教では老いも若きも、男も女も、あの世では関係ない。救いの対象に入っている。」と考えた住職は、メディアに対して、「当然OKです。」と回答したそうです。

 

そこから先は、皆さんのご想像通りです。

 

メディアは「LGBTも入れるお墓」として紹介しました。

 

住職は、友達同士でも、事実婚でも、国籍が違っても、宗派が違っても入れるお墓、つまりは「どんな人でも入れるお墓」として「&(安堵)」を始めたのに、メディアは、話題性のあるLGBTを強調し、その部分が独り歩きしてしまったのです。

 

しかし、井上住職がすごいのはここからです。

住職と職員とパートさん全員参加で、LGBTの勉強会を開きました。

さらにその後、LGBTの方々を招き、座談会まで行ったのです。

 

予想外の紹介をされたことに怒るわけでもなく、メディアに紹介されて、供養に困っている人たちが来るならば、その人たちのことを理解する必要があると考え、具体的な行動に移したのです。

 

とても勇気のあることだと思いました。

 

現在の永代供養人気は飛ぶ鳥を落とす勢いです。

特に首都圏近郊では、毎年とてつもない売れ行きです。

マイノリティの方たちのことを受け入れることで、偏見を持つ方が買わなくなる可能性もあったはずです。

経営やお金やリスクを考えていれば、手を出さない方がいい範囲です。

 

また、お寺というのは住職の一存で決められることばかりではなく、門徒さんの総代会、同じ宗派の横の繋がりなど、さまざまなところとの関係があります。

そういったところに理解してもらうための準備も大変だったと思います。

 

井上住職は座談会で、「仏教には男女の差別はありませんし、お寺は多様な方々に門戸を開いています。そのことをもっと知ってほしいと思います。」と語ってくれたそうです。

 

今回の朝日広告賞の受賞は、広告紙面のデザインのよさだけでなく、仏教という伝統の中に、新しい価値観を見出そうとした井上住職の思いにも理由がある気がしてなりません。

 

LGBTの方々にとって、戸籍のことや、周囲の理解など、「終活」のハードルは高いはずです。

 

けれど、きっと、少しずつ、未来は変わっていくはずです。

また、何か情報をキャッチした時は発信します。

 

 

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